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- この未曾有の世界経済・金融危機の中、昨年末から、トヨタ、パナソニック、ソニー、キャノンといった日本の代表的企業が軒並み業績を悪化させ、非正規だけでなく正規社員の雇用すら守られなくなってきています。
- そんな中、仕事と子育てなどの生活を一人で背負わなければならない母子家庭の母は、雇用などの面で一層厳しい状況に置かれ、ワーキングプアの典型です。
- そこで、ハンド・イン・ハンドの会の会員を対象に、この経済危機の影響等母子家庭を取り巻く課題について把握するためのアンケート調査を行いました。
- 調査は2009年3月1日〜31日の1ヶ月間実施し、57通の回答を得、うち離婚・別居中の54人について報告します。
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- 40代がトップ、全国各地から回答
- 回答者の居住地は大阪がトップで14.0%、東京が12.3%、埼玉が8.8%、兵庫が8.8%と続き、北海道から長崎と全国に渡っています。
- 年代は40代が50.9%とトップ、50代が26.3%、60代以上が8.8%、30代が7.0%と続いています。
- 現在の状況は回答者は、離婚女性が78.95%、婚姻中が21.05%で、離婚後、10年以上が6割を占めています。
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- 低い収入から子どもの教育費を捻出することが難しく、塾・参考書等進学準備が苦しく(25.0%)、希望通りの進学をさせてやれそうにない(16.7%)ケースや学費が払えなくなりそう(13.9%)なケースも出ています。
- また、子どもがまだ小中学生なので何とかなっているが、年齢が上がるとどうなるかわからない、この先はどんどん切崩すことになるのではと、将来の不安を抱く人もいました。
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- 子どもを持つ母親の約半数が養育費を「受け取っている」(37.3%)または「受給を満了」(17.7%)しています。
- しかし、母親の約4割は養育費を「受け取っていない」(33.3%)または「途絶えた」(7.8%)ため、別れて暮らす父親から受け取っていません。
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- 87%の人が働いている
- 正社員が40.7%、公務員が13%と半数近くが正規で働いています。
- パートや派遣、契約社員等、不安定雇用の人が33.3%おり、仕事を掛け持ちしている人もいます。
- 13%の無職の人の理由の一例
- 体調不良、夫のDVによりうつ病になって働けない
- 精神を患い4ヶ月間入院していた
- 父の介護でひざを痛め肉体労働ができず、仕事がみつからない
- 不況の影響により昨年末に解雇された
- 定年退職時に継続雇用を希望したが断られた
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- 月収(年間の賞与込みの平均金額)が分かっている32人中では15万円未満が40.6%
- 月収が「なし」が5.6%、「10万円未満」が5.6%、「10〜15万円未満」が13%となっています。
※月収15万円未満を年収(12ヶ月分)にすると180万円未満となり、2人家庭での相対的貧困といえます。
また、日本の子どもの相対的貧困率13.7%(OECD 2008年度)と比較すると、高い水準といえます。
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- 正規雇用者、公務員でも約62%は経済的に苦しい状況にある
- 無職をはじめ、パート、派遣では、100%が経済的に苦しい状況にある
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- 現在収入がある人において、この1年間で約10人に1人(13%)は、
収入が増加
- しかし、この1年間で約3人に1人(38.9%)は収入が減少
- 収入減少の理由は、仕事量・時間の減少(18%)、賞与の減少(14%)、
不況や病気による退職・解雇(21%)などです。
- 収入減少や退職・解雇の理由の一部
- 会社の収益の減少、会社がもうかっていない
- 家族の病気等で半年休業、復職したが仕事量が減った
- 病気をして夜勤・残業ができなくなりその分減った、昇給停止に
- 残業が無くなった
- 時給から月給アルバイトとなって、残業をできなくなった
- 正社員からパートになった
- 賞与の決まりはなく寸志で出ていたが、最近はもらっていない
- 給与制度の改定と職場移動
- 公的扶助の減少(児童扶養手当がもらえなくなった)
- 病気のため無職
- 夫のDVで鬱病になったため無職
- 辞めた、精神を患い4ヶ月間入院していた
- 昨夏父の介護でひざを痛めて以来無職、仕送りしてくれていた
父が昨秋亡くなり、現在妹が送金してくれているが不安
- 退職し、半年後に再就職した時に良い条件の仕事がなかった
- その他、労働時間が増えたと訴えるものもあります。
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- 現在の自衛方法について
- 「貯蓄を崩す」が30%とトップ
- 「奨学金」19%や「親族の援助」が17%と続き、「生命保険の解約・担保に借金」(17%)をしたり、「学資保険・子どもの貯蓄を崩す」(11%)と貯蓄を切崩して何とか生活している状況です。
- 中には、「新聞を辞める」(15%)、「節約・倹約」(20%)と少ない収入で切り詰められるだけ切り詰める状況が伺えます。
- 母子寡婦福祉資金は、申請の段階で借りられない人もいて、自治体によって支援策の違いが出ています。
- 今後の自衛方法について
- 「仕事を増やす」が22%で最も多い
- 次いで「奨学金」の取得をめざす(11%)など収入を増やす項目が上位に来ています。
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- 母子家庭の母親の4割が病気や怪我などを患っている。
- 健康悪化と経済状況の悪化について3/4の人が「関係が有る」と認めている。
- 1割が病院に通うことができず、その理由は、経済的や時間といった物理的困難(60%)が最も多い。
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- 子どもの成長に伴い重くなる教育費や生活費の負担
- 「1月から賃金が一律に5%カット、高校や大学に子どもを進学させられるか心配」
- 「仕事がパートしかなく子どもの望む大学に入学させられない」
- 「今はまだ小中学生なので何とかなっているが、この先はどんどん切崩すことになると思う」
- 「子どもに発達障害があり、精神的に不安定なため学校を休みがち。設備が整っている私立の学校に行かせるために仕事を増やしたいが、子どもを一人にしておく不安が大きくて動き出せない」
- 「子どもの就職が決まっていない」
- 「子どもの仕事や結婚生活が将来どうなるか読めない」
- 元配偶者からの難しい養育費の履行確保
- 「調停で養育費を決めたが、元夫は姿をくらまし、居場所が分からなければ強制執行もできず、法律も何も役に立たない」
- 社会の偏見
- 「子どもの学費の貸付の相談に行ったところ母子相談員に馬鹿にされ、ひどいことを言われた」
- 「母子家庭というだけでいつも他人から冷たい目で見られる、女性が一人で子どもをちゃんと育てられる収入を得られるのは不可能なのか」
- 既に節約している上で更に収入減少した場合の生活保護、貯蓄の確保
- 「母子寡婦福祉資金を借りたいが、申請の段階ではねられた、もうこれ以上切り詰められない」
- 「ボーナスや給与が減るとギリギリの生活をしているので困る」
- 「貯金が底をついてきた、やばい」
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- 不況下での勤労収入の確保
- 「会社の業績が悪化して、いつリストラや収入の減額があるかわからない」
- 「パートでもバイトでもあれば働く」
- 「健康上の問題でこれ以上仕事を増やせない」
- 働き手である母親の健康維持や、親の介護問題、老後の生活の不安
- 「親の介護が一人娘の自分にかかってきている、介護保険を利用して就労しているが容態が悪くなれば仕事を辞めないといけない」
- 「自分の年金がどうなるか心配」
- 「子どもの教育費を払ったら、自分の老後のお金はなくなってしまう」
- 精神的にも行き詰っている状況
- 「生きていくことがこんなにきついなんて思いもしなかった」
- 「とにかく毎日を生きていくことだけで精一杯」
- 「自殺を考えたことがある」
- 各種政策・行政サービス間の齟齬
- 「生活保護は学資保険を解約しないといけないので、生活保護以下の生活でもやっていくしかない」
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